会計参与制度への対応
会計参与制度について
平成18年5月1日施行の会社法にて創設された会計参与制度をご存知でしょうか? KOMIYAMA & Co.グループ総括代表社員の小見山満は、この制度の創設時に行動指針の草案を作成した中心メンバーです。
会計参与とは、経営者と共同名義で会社の決算書類を作成する専門家のことであり、公認会計士または税理士にこの資格が認められています。創設以降、会計参与を導入した中小企業に対し、金利や融資条件を優遇したり、会計参与対応融資商品を設ける金融機関が増加しています。また、日本公認会計士協会および日本税理士会連合会が会計参与の行動指針を発表し、注目を集めております。
会計参与制度創設の目的
会計参与制度が創設された目的は、中小企業の資金調達の円滑化を実現することです。
中小企業に対する金融機関の融資姿勢は大企業に対するものと比較して、あまり積極的でないと指摘されています。その理由としては、商法上監査義務がない中小企業については財政状態などに関する情報が少ないことや仮に情報が存在したとしても第三者からみた判断材料として信頼に足るものではないという事が大きな理由とされています。
そこで、企業の計算書類の適正性・信頼性の向上を図り、金融機関が融資をしやすいようにして、中小企業の資金調達の円滑化を目的として、「会計参与制度」が創設されました。
会計参与と会計監査人との相違点
会計参与と会計監査人との相違点として以下の点が挙げられます
<会計参与と会計監査人との相違点> | ||
---|---|---|
会計参与 | 会計監査人 | |
設置 | 全ての会社で任意に設置可能 | 大会社:設置を強制 大会社以外:設置は任意 |
資格 | 公認会計士、税理士 | 公認会計士 |
職務 | 計算書類の作成、株主総会での説明、計算書類の保存・開示など | 計算書類等(会計に関する部分)の監査等 |
会社の機関としての位置づけ | 会社の内部機関 | 会社の外部者 |
会社に対する責任 | 社外取締役と同様の規律を適用。責任の一部を免除制度の適用についても社外取締役と同様 | 監査役と同様の規律を適用。責任の一部免除制度の適用については社外取締役と同様 |
株主代表訴訟の対象 | 対象 | 対象 |
登記 | 要 | 要(設置した旨、氏名又は名称を登記) |
制度導入のメリット
一般的に会計参与を設置することで以下のメリットが得られると考えられます。
- ○ 正確な計算書類が作成できる。
- ○ 金融機関からの資金調達を行いやすくなる。
(多くの金融機関等に会計参与対応融資商品があります) - ○ 金融機関からの金利や条件の優遇を受けやすくなる。
(信用保証協会や金融機関では金利や保証料の軽減も行っています。) - ○ 取引先や顧客からの信頼性が増加する。
(特に建設業で公共工事の入札資格を持つ会社の場合は適正法会計に関して建設業経営事項審査の社会性評点が加算されます。(W点で10点、P点で15点加算)) - ○ 会社の財務管理力が増す。
- ○ 会計参与を就任させることで会計重視のイメージができる。
- ○ 会計の専門家に株主総会での説明を行ってもらえる。
- ○ 株式公開の準備が行いやすくなる。
参考資料:会計参与の行動指針 徹底解説(小見山 満編著 大蔵財務協会)
導入のデメリット
一方で、当然のことながら会計参与を設置すると報酬の支払いが発生します。
統計によると会計参与設置会社は全体の約70%ほどが平均年間200万円以内の報酬支払いをしています。
そのため、融資等によるメリットがコストの増加分以上に有利なものとなるのかなどを見極めて設置の必要性を判断すべきであると言えます。
各社の規模や事業内容、今後の方向性等によって会計参与を設置したほうがいいか否かが変わります。KOMIYAMA & Co.グループでは、皆様のお話しをお伺いした後、そもそも会計参与を設置したほうがいいのか否か、もし設置した場合にはいくらかかりどのようなメリット・デメリットがあるのか等を具体的にご説明させて頂きます。
是非お気軽にご相談ください。