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開業と法人設立の比較

法人設立と個人事業主としての開業のどちらにするか迷われている方へ

法人設立と個人事業主としての開業はそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらにしようか迷われている方も多いと思います。
参考例として個人事業主の開業と株式会社を設立した場合の比較及び、法人化のメリット・デメリットを簡単にまとめました。

個人事業主と株式会社の比較

項目 個人事業主 株式会社
法人格 なし あり
信用力 低い 高い
資金調達能力 低い 高い
利益に対する税率 累進課税 一定、中小企業の特例あり
他人からの出資 贈与税の対象となる 資本等取引のため課税対象外
代表者の給与 経費にできない 経費にできる
代表者の退職金 支給できない 支給できる(税金面で有利)
交際費の損金算入枠 制限なし 制限あり
欠損金の繰越 青色申告の場合3年 青色申告の場合10年
決算期 毎年12月 自由に設定可能
登記の有無 なし あり(別途登記費用が必要)
設立コスト なし 必要
経理処理 簡易な記帳でも可 厳密な処理が必要

法人化のメリット・デメリット(税務面)

主なメリット
1. 利益に対する税金(法人税/所得税)上のメリット
  • 法人税率が比例税率となる
    個人所得税は累進課税
  • 欠損金の繰越
  • 特別償却や特別税額控除が利用できる
  • 退職金や生命保険料を経費にできる
2. 消費税上のメリット
  • 消費税が最低1年間免除(資本金1,000万円未満の場合)
    2期目以降は、前期の上半期における課税売上高が1,000万円超か否かで、免除事業者に該当するか否かを判断
3. 相続税上のメリット
  • 後継者への引継ぎの際、事業で使用する資産等に関する相続税が不要
主なデメリット
1. 維持費と手間がかかる
  • 無活動でも法人住民税均等割が発生
2. 制限が生じる
  • 交際費の上限あり
  • 役員報酬は原則一定の時期しか変更できない
3. 予定・中間申告書が必要
  • 予定申告又は仮決算による中間申告・納付が必要(前事業年度の法人税額が20万円以下の場合は不要)。
  • 個人と異なり法人の中間納付は年1回のみ。
    参考:個人の場合は申告書の提出はなく、税務署からの通知に基づき7月末と11月末までに納付。

法人化のメリット・デメリット(税務以外の面)

主なメリット
1. 社会的信用が増す
  • 営業時や採用時に相手に与える印象が良くなる
2. 融資や資金援助の幅が広がる
  • 銀行借入の容易化
  • 株式発行による資金調達も可能
  • 助成金等の支援を受けやすくなる
  • 代表者の死亡時でも口座が凍結しない
3. 有限責任
  • 事業に失敗した場合、会社の連帯保証人にならない限り債権回収が個人資産まで及ばない
4. 健康保険と厚生年金保険への加入が可能
5. 経営者自身や家族へ退職金を支払うことが可能
6. 事業年度を好きな時期に定めることが可能
主なデメリット
1. 設立のための手間と費用がかかる
  • 資本金の準備
  • 登録料等の発生
  • 定款等の作成
  • 許認可に関し再度申請が必要な場合がある(*1)
2. 維持費と手間がかかる
  • 定期的な役員変更の登記が必要
  • 会計は複式簿記のみ(単式簿記は不可)
  • 健康保険と厚生年金保険への加入が必要(コスト増加)
  • 住民税や源泉税の徴収義務が生じる
3. 業務内容に制限が生じる
  • 業務内容は定款記載事項のみ
4. 変更内容によっては登記の変更が必要
  • 資本金、役員、会社の場所、事業内容等の変更には変更登記が必要でコストがかかる
5. 事業をやめる場合にも手間と費用がかかる

*1 法人化する場合、個人事業は廃業し、法人という形で新たにスタートを切ることになるため、経営主体の継続性がなくなります。その結果、 例えば許認可では新たな取得、届け出などが必要な可能性があります。(商号や屋号の変更届ですまない場合もあります。)

同様の内容を株式会社・持分会社のNews & Topics第一回目にも記載しております。

上記のように一般的な法人化のメリット・デメリットを記載させて頂きましたが、業種や今後の経営計画等によっては上記に記載されていないメリット・デメリットが存在する可能性がございます。

KOMIYAMA & Co.グループでは専門スタッフが、皆様がお考えの事業は法人設立と個人開業のどちらが適しているか等を皆様の立場に立って、ご説明させて頂きます。

是非お気軽にご相談ください。

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