M&Aに関するNews & Topics
第2回目 〜デューデリジェンスとM&Aを成功に導くためのポイント〜
M&Aのトピック第1回目ではM&Aの目的及び標準的なプロセスについて御説明させて頂きました。第二回目ではデューデリジェンスとM&Aを成功に導くためのポイントの解説をさせて頂きます。
1. デューデリジェンスのポイント
デューデリジェンス(due diligence)とは、買収先企業の詳細な調査のことを言います。通常は財務(会計)、ビジネス、法務、人事、ITの視点から調査を行い、買収しようと思っている会社の本当の価値を算定するための情報を得ると共に、買収後に大きなリスクを抱える可能性がないか調べます。
特に財務デューデリジェンスにあたっては以下のポイントが重要になってきます
(1)資産の評価額
- 土地の含み損益の有無
- 有価証券、ゴルフ会員権の含み損益の有無
- 売上債権の評価(どのくらい回収可能性を有しているか)
- 金銭債権の評価(どのくらい回収可能性を有しているか)
- 仮払金等の仮勘定の資産性
(2)引当金の合理性
- 賞与引当金(特に社会保険料の会社負担部分も適切に計上されているか)
- 役員賞与引当金(特に社会保険料の会社負担部分も適切に計上されているか)
- 退職給付引当金(必要な支給額相当分が適切に計上されているか)
(3)偶発債務等のオフバランス取引
- 訴訟案件の有無及び賠償請求等、損失発生可能性のある金額
- 未計上債務の有無
- 債務保証に対する引当計上の有無
- デリバティブの内容確認と含み損益の有無
- 解約可能性のあるリース契約の有無(違約金の有無)
- 後発事象の有無
(4)オーナーとの取引の有無
(5)議事録等の通査で発見したその他の事項
上記に上げた5つのポイントは主に買収する会社の価値が幾らかを算定するための重要な検討ポイントであると共に、M&A完了後、それまでは予測していなかった事態が生じないか確かめる目的で確認される項目です。
ビジネスデューデリジェンスとは、買収対象の事業内容を明確にし、M&Aが目的に合致するか、また提示された事業計画と相違する可能性や業績改善の可能性を検討する調査の事を言います。この調査では、特にM&Aが目的に合致するか、またM&A後、両会社が上手く融合し成長していけるか(シナジー効果を発揮できるか)がポイントになります。
またM&Aを実施する際には上記2つ以外に法務デューデリジェンスという、買収対象の事業が負っている現在もしくは将来的な法律上のリスクを探るための調査も必要になります。
2. M&Aを成功に導くために
M&Aによって、それまでバックグラウンドが全く異なる2つ以上の会社や事業が一体となって新しくビジネスを始めることになります。そのため、M&Aは必ずしも成功するとは限らず、現在の成功率は3割から4割と言われています。このようなM&Aですが、以下のポイントを押さえることによって成功率を高くすることが可能です。
(1)M&A目的の明確化
M&Aの目的が曖昧である場合や、買収すること自体を目的にしてしまい実現可能性の低い事業計画や具体性に乏しいシナジー施策のままM&Aを進めてしまう場合には、失敗する可能性が高くなります。そのためM&A実施の前に、なぜM&Aが必要か、その他の手段で代替できる方法はないかを検討する必要があります。
(2)エース級の人材の引き止め方
事業内容等にもよりますが、会社自体よりはその会社にあるノウハウや技術の取得を目的とするM&Aの場合に、そのノウハウや技術を持つ人材がM&A後に退職してしまい、M&Aを実施した意味がなくなってしまうケースがあります。そのためにも、デューデリジェンスにおいて詳細な調査を行い、必要によっては買収契約書の条件に従業員が一定年数退職しないことを明記する必要があります
(3)統合後のリーダーシップの有り方
例え同じ業種・業界の会社や事業であってもバックグラウンドや社風、考え方等が全く異なる会社がM&Aによって統合することになります。そのため、結婚と同様に両者の歩み寄りや、強いリーダーシップを持った人の存在が重要になります。M&Aの失敗例の多くはリーダーシップの欠如や、組織文化や利害の衝突により上手く統合できなかった事が原因とも言われています。このためM&Aコンサルタント等、第三者の専門家の力を借りつつ、お互いの将来に向け歩み寄ることが必要になります
M&Aはかなり大きな金額の動く投資であり、また投資したらほとんどの確率で成功するというものではないため、上記ポイントを押えることによりM&Aを成功させ、貴社が益々発展されますことを願っております。
弊社ではM&A戦略の決定からクロージングまで一貫してサポートしております。
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