株式会社・持分会社に関するNews & Topics
第1回目 〜個人事業主と株式会社の比較、法人化のメリット・デメリット〜
法人設立と個人事業主としての開業はそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらにしようか迷われている方も多いと思います。
参考例として個人事業主の開業と株式会社を設立した場合の比較及び、法人化のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
個人事業主と株式会社の比較
項目 | 個人事業 | 株式会社 |
---|---|---|
法人格 | なし | あり |
信用力 | 低い | 高い |
資金調達能力 | 低い | 高い |
利益に対する税率 | 累進課税(最高55%) | 一定(15%、25.5%) (中小企業の特例あり) |
他人からの出資 | 贈与税の対象となる | 資本金となり非課税 |
代表者の給与 | 経費に出来ない | 経費に出来る |
代表者の退職金 | 支給出来ない | 支給出来る |
交際費の損金算入枠 | 制限なし | 800万円まで (中小企業の場合) |
欠損金の繰越 | 青色申告のとき3年 | 青色申告のとき10年 |
決算期 | 毎年12月 | 自由に設定可能 |
登記の有無 | なし | あり(登記コストあり) |
設立コスト | なし | 24万円程度必要 |
経理処理 | 簡易な記帳でも可 | 厳密な処理が必要 |
法人化のメリット・デメリット(税務面)
主なメリット
- 1. 利益に対する税金(法人税/所得税)上のメリット
-
- 法人税率が比例税率となる
- 欠損金の繰越
- 特別償却・特別税額控除が利用できる
- 退職金や生命保険料を経費にできる
- 2. 消費税上のメリット
-
- 消費税が1年間免税(資本金1,000万円以下の場合)
2期目以降は、前期の上半期における課税売上高が1,000万円 超か否かで、免税事業者に該当するか否かを判断
- 消費税が1年間免税(資本金1,000万円以下の場合)
- 3. 相続税上のメリット
-
- 後継者への引継の際、事業で使用する資産等に関する相続税が不要(株式の相続になる)
主なデメリット
- 1. 維持費と手間がかかる
-
- 無活動でも法人住民税均等割が発生
- 2. 制限が生じる
-
- 交際費の上限あり
- 役員報酬は原則一定の時期しか変更できない
- 3. 予定・中間申告書が必要
-
- 予定申告又は仮決算による中間申告・納付が必要(前事業年度の法人税額が20万円以下の場合は不要)。
- 個人と異なり法人の中間納付は年1回のみ。
参考:個人の場合は申告書の提出はなく、税務署からの通知に基づき7月末と11月末までに納付。
法人化のメリット・デメリット(税務以外の面)
主なメリット
- 1. 社会的信用が増す
-
- 営業時や採用時に相手に与える印象が良くなる
- 2. 融資や資金援助の幅が広がる
-
- 銀行借入の容易化
- 株式発行による資金調達も可能
- 助成金等の支援を受けやすくなる
- 代表者の死亡時でも口座が凍結しない
- 3. 有限責任
-
- 事業に失敗した場合、債権回収が個人資産まで及ばない (会社の連帯保証人にならない場合に限る)
- 4. 健康保険と厚生年金保険への加入が可能
- 5. 経営者自身や家族へ退職金を支払うことが可能
- 6. 事業年度を好きな時期に定めることが可能
主なデメリット
- 1. 設立のための手間と費用がかかる
-
- 資本金の準備
- 登録料等の発生
- 定款等の作成
- 許認可に関し再度申請が必要な場合がある(*1)
- 2. 維持費と手間がかかる
-
- 定期的な役員変更の登記が必要
- 会計は複式簿記のみ(単式簿記は不可)
- 健康保険と厚生年金保険への加入が必須(コスト増加)
- 3. 制限が生じる
-
- 業務内容は定款記載事項のみ
- 4. 変更時には毎回登記が必要
-
- 資本金、役員、会社の場所、事業内容等の変更時には毎回登記変更を行う必要がある
- 5. 廃止時にも費用が必要
法人化する場合、個人事業は廃業し、法人という形で新たにスタートを切ることになるため、経営主体の継続性がなくなります。その結果、 例えば許認可では新たな取得、届け出などが必要な可能性があります。(商号や屋号の変更届ですまない場合もあります。)
上記のように一般的な法人設立のメリット・デメリットを記載させて頂きましたが、業種や今後の経営計画等によっては上記に記載されていないメリット・デメリットが存在する可能性がございます。
KOMIYAMA & Co.グループでは専門スタッフが、皆様の立場に立ち、皆様がお考えの事業は法人設立と個人開業のどちらが適しているか等を説明しております。
是非お気軽にご相談ください。
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